主要概念 | Core Concepts of Sensibility Urbanism

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体験と感覚から都市価値を捉え直す理論

体験・感覚・関係性の質から再定義

都市の非定量的価値(体験・感覚・関係性)を扱うための理論

三層モデル(大地・文化・営み)

都市開発の初期構想、公共空間運営、エリアマネジメント、文化政策、地域ブランディングにおいて、体験・感覚・関係性の質を起点に都市価値を再定義する実装フレームとして用いる。

Original

都市を感覚的に経験する力とその質

都市を身体的・感覚的に経験する能力と都市の感覚的質の総体

都市の魅力は視覚だけでなく体験全体で形成される

知覚;身体性;情動

フィールドリサーチ、都市観察、設計前調査、評価設計において、都市で経験される知覚的・感覚的な質を読み取るための観察レンズとして用いる。

Original

都市を複数の時間と文化の層として読む構造

都市を複数の時間・文化・生活の層として読む構造概念

都市は単一ではなく重なった層の集合体である

地層/大地性・文化/歴史層・生活/営み層

都市開発、再開発、都市再編集、地域リサーチにおいて、地層・大地性・歴史文化・生活行動の重なりを構造的に把握し、場所固有の価値を整理するフレームとして用いる。

Adapted

異なる価値や主体が共鳴しながら共存する状態を都市に見出す思想

都市は単一の秩序ではなく多様な価値の共存から成り立つ

共鳴;独立;多元性

共創プロジェクト、対話設計、組織横断プロジェクト、文化都市戦略において、異なる価値観や立場の共存を前提に構想を編集する思想基盤として用いる。

Original

曖昧さや余白を設計資源として扱う原理

都市に存在する曖昧さや余白を、排除すべきノイズではなく、体験・関係・創造性を生む設計資源として扱うデザイン原理。

都市設計はしばしば、用途・動線・意味を明確にしすぎることで、偶発性や主体的な関与の余地を失わせる。 しかし実際には、明確に定義されすぎない場、使い方を一つに限定しない構成、意味を開いておく編集が、人の滞在や解釈や再利用を促すことがある。 Ambiguous Design は、そうした曖昧さを意図的に残し、活かすための設計態度である。

開放性・可変性・複数解釈・未完性・参加余地・偶発性

公共空間、展示、文化施設、コミュニティ拠点において、用途や意味を固定しすぎず、人の関与や解釈の余地を残すための設計原理として用いる。

Adapted

都市を時間の層として読むための概念

時間の層として都市を捉える概念

都市は異なる時間が重なって存在する

時間・歴史・変化

都市開発、景観設計、プログラム設計、地域アーカイブにおいて、時間帯・季節・歴史・記憶の重なりを扱い、都市の変化と持続を設計に接続するために用いる。

Adapted

身体性から都市を理解するための考え方

身体性から都市を理解する考え方

都市は視覚ではなく身体で経験される

身体・感覚・動作

歩行体験設計、公共空間デザイン、回遊計画、都市調査において、都市を身体感覚と行動の連続として捉え直すための視点として用いる。

Adapted

Simonsen, K. F. (2003). The embodied city: from bodily practice to urban life. In J. Öhman & K. Simonsen (Eds.), Voices from the North: New Trends in Nordic Human Geography (pp. 157–173). Aldershot: Ashgate.

都市の空気感や雰囲気を扱う概念

都市の空気感や雰囲気を扱う概念

都市の魅力は物理ではなく雰囲気に宿る

空気・感情・場

照明、音、風、素材、香り、滞在演出を含む空間編集において、場の雰囲気や気配を設計・運営するための概念として用いる。

Adapted

Gandy, M. (2017). Urban atmospheres. Cultural Geographies, 24(3), 353–374. https://doi.org/10.1177/1474474017712995 Albertsen, N. (2019). Urban Atmospheres. Ambiances. https://doi.org/10.4000/ambiances.2433

都市を意識的に感じ取る状態を示す概念

都市を意識的に感じる状態

都市は無意識ではなく意識的に経験されるべきである

意識・認知・選択

都市学習、まち歩き、文化プログラム、市民対話において、都市を無意識に消費するのではなく、意識的に感じ取り読み替える態度を促す実践レンズとして用いる。

Adapted

Palti, I. (2016). Defining conscious city. Journal of Urban Design & Mental Health, 1. https://www.urbandesignmentalhealth.com/journal1-ipeditorial.html

欲求の再野生化から都市を捉える思想

欲求を再野生化する都市思想

都市は管理された欲望ではなく自然な欲求を取り戻す場である

欲求・自然・回復

食、 hospitality、感性プログラム、ブランド体験設計において、抑制された欲求や感覚を再活性化し、人間の内側から都市体験を更新する実装レンズとして用いる。

Original

感覚の変化を都市体験として捉える概念

感覚の変化を都市体験として捉える

都市体験は時間とともに変化する感覚の連続である

時間・感覚・変化

展示、サロン、飲食体験、公共空間演出において、感覚の切り替わりや導入の瞬間を設計し、日常から別の知覚状態へ移行させるために用いる。

Original

関係性から価値が生まれるという考え方

関係性から価値が生まれるという考え方

都市価値は人・環境・時間の関係から生まれる

関係性・相互作用・ネットワーク

都市評価、非財務価値設計、エリアマネジメント、地域ブランディングにおいて、人・場所・時間・環境の関係から生まれる価値を整理し、指標や意思決定に接続するために用いる。

Adapted

Chan, K. M. A., Gould, R. K., & Pascual, U. (2018). Editorial overview: Relational values: what are they, and what’s the fuss about? Current Opinion in Environmental Sustainability, 35, A1–A7. https://doi.org/10.1016/j.cosust.2018.11.003

都市を体験の総体として捉える概念

都市を体験として捉える概念

都市は機能ではなく経験として知覚される

知覚・身体・環境

都市開発、回遊設計、公共空間運営、観光・地域ブランド設計において、都市を空間ではなく経験の連鎖として編集するための基本フレームとして用いる。

Adapted

Parker, S. (2015). Urban Theory and the Urban Experience: Encountering the City (2nd ed.). Routledge.

Original

都市の曖昧さや余白を価値として捉える概念

都市に存在する曖昧さ・余白・未決定性を、欠如ではなく価値の生成条件として捉える概念。

都市の魅力は、機能や効率だけでは説明できない。 むしろ、使い方が固定されすぎていない場所、意味が過剰に規定されていない場、複数の解釈や振る舞いを許す余白にこそ、滞在・想像・関係生成の可能性が生まれる。 Urban Ambiguity は、そのような都市に固有の曖昧さを観察し、価値として読み取るための概念である。

余白・未決定性・解釈の複数性・用途の可変性・関係の開放性

公共空間設計・都市開発・エリアマネジメント・文化施設運営・居場所設計

Adapted

感情や情動を支える都市基盤の考え方

感情や情動を支える都市基盤を捉える概念

都市インフラは移動や物流だけでなく、安心・高揚・余韻を支える基盤でもある

情動・基盤・体験

ベンチ、陰影、灯り、音、植栽、居場所の運営などにおいて、感情や情動を支える都市基盤を設計・評価するためのフレームとして用いる。

Adapted

Bosworth, K. (2023). What is 'affective infrastructure'? Dialogues in Human Geography, 13(1), 54–72. https://doi.org/10.1177/20438206221107025

人間以外の存在を含めて都市を捉える視点

人間以外の存在を含めて都市を捉える概念

都市は人間だけのものではなく、植物・動物・菌・風・水とともに構成される

非人間・共生・生態

都市開発、ランドスケープ、環境計画、公共空間設計において、人間以外の生物や生態系、水や土壌を含む視点から都市を再設計するために用いる。

Adapted

Wang, J. (2024). Reimagining the More-Than-Human City: Stories from Singapore. Cambridge, MA: The MIT Press. Oliver, C. (2023). Transforming paradise: Neoliberal regeneration and more-than-human urbanism in Birmingham. Urban Studies, 60(3), 519–536. https://doi.org/10.1177/00420980221104975

場所と主体の共鳴から都市体験を捉える概念

場所と主体のあいだに生まれる共鳴を捉える概念

都市体験は場所の性質と個人の感性が響き合うことで立ち上がる

共鳴・場所性・感性

地域ブランディング、場の編集、文化プログラム、エリアマネジメントにおいて、場所と人のあいだに生まれる共鳴や愛着を育てるための概念として用いる。

Adapted

Rosa, H. (2018). The Idea of Resonance as a Sociological Concept. Global Dialogue, 8(2).

緩やかな関係線で成り立つ参加可能なコミュニティ

強い所属を前提とせず、参加・離脱・再接続がしやすい複数の細い関係線によって成立するコミュニティ形態。

都市では過剰接続と孤立が同時に進む。持続可能な居場所は、濃密な共同体ではなく、ゆるやかな関係の束として設計される必要がある。

弱い紐帯・再接続可能性・自律的距離・複数所属・一時参加

地域ブランディング、場の編集、文化プログラム、エリアマネジメントにおいて、場所と人のあいだに生まれる共鳴や愛着を育てるための概念として用いる。

Original

一人の時間を回復と創造の源として捉える概念

一人でいる時間を欠如ではなく、回復・内省・創造性・自律性の源泉として捉える参照概念。

良質な都市的つながりは、常時接続を前提としない。一人でいられる自由と、必要時に再接続できる構造の両立が重要である。

回復・内省・創造性・自律・非孤立

静かな居場所設計・キャリアブレイク期の都市支援・ワークプレイス・ケア空間

Citation

Palgi, Y., Segel-Karpas, D., Ost Mor, S., Hoffman, Y., Shrira, A., & Bodner, E. (2021). Positive Solitude Scale: Theoretical Background, Development and Validation. Journal of Happiness Studies, 22(8), 3357–3384. https://doi.org/10.1007/s10902-021-00367-4 Nakao, N., & Hirano, M. (2024). Development and evaluation of reliability and validity of Japanese version of Positive Solitude Scale. Nihon Koshu Eisei Zasshi [Japanese Journal of Public Health], 71(7), 349–356. https://doi.org/10.11236/jph.23-096

認知や思考を含めて都市を捉える概念

認知・情動・思考を対象として都市が感知・学習・介入する動向を捉える概念

都市は行動を最適化するだけでなく、心の条件そのものを扱う統治へ移行しつつある。 Cognitively enabled urbanisms は、その変化を批評的に捉えるための参照概念である。

認知・情動・AI・神経技術・学習・統治・介入

都市AI批評、スマートシティ再解釈、ニューロテック批評、感性価値設計、都市ガバナンス研究

Citation

Marvin, S. & Zhang, J., 2026, Cognitively enabled urbanisms: A critical commentary on the emerging governance of the mind, Urban Studies.

脳や感情への影響から都市環境を捉える視点

都市環境が脳・感情・メンタルヘルスに与える影響から都市を捉える概念

都市は機能や景観だけでなく、心の健康や都市ストレスの条件として設計されうる

脳・感情・メンタルヘルス・都市ストレス・緑地・社会的相互作用

都市開発、公共空間設計、景観設計、歩行環境設計、メンタルヘルス配慮設計、回復空間設計

Citation

Adli, M. et al., 2017, Neurourbanism: towards a new discipline. Ndaguba, E. A. et al., 2022, Re-Imaging the Future in Urban Studies and Built Environment Discourse: A Neurourbanism Perspective.

市民経験から都市評価を学習するAIの考え方

Citizen-guided AI とは、市民の比較判断、選好、 lived experience をAIモデルの学習信号として組み込み、都市評価の物差しそのものを市民側から形成する考え方である。 従来の都市AIが、行政や専門家によって定義された評価項目を前提に都市を分析してきたのに対し、Citizen-guided AI は「何を良い都市とみなすのか」という評価軸そのものを、市民の経験から立ち上げる点に特徴がある。 これは、参加を効率化するAIではなく、評価の主権を再編するAIである。

都市評価は専門家が先に指標を置くのではなく、市民の lived experience から形成されうる

市民判断・比較評価・AI学習・評価軸生成・可視化

まち感性指標の生成・更新 エリアマネジメントにおける感性価値の把握 再開発地区の滞在価値・居心地・緊張感の分布把握 公共空間運営における lived experience の反映 都市開発における非財務価値の可視化 市民参加型の都市ヒートマップ / contrast map の生成

Citation

多感覚的な都市経験から都市を捉える研究視点

都市を視覚中心ではなく、多感覚的・身体的経験から捉え直す都市研究/設計実践の系譜。音・匂い・触覚・歩行感覚・雰囲気など、非視覚的な感覚が都市の知覚、行動、滞在、包摂/排除、設計にどう関わるかを扱う。

Sensibility Urbanism の主要な参照系譜。視覚中心主義を批判し、都市を多感覚的・身体的経験として捉える視点を先行的に開いた点に意義がある。また、感覚が都市の包摂/排除、秩序、統治と結びつくことを示した点でも重要。Sensibility Urbanism は、この系譜を継承しつつ、時間・記憶・文化・継承可能な価値へと拡張する。

多感覚・身体性・音・匂い・触覚・動き・雰囲気・感覚秩序

多感覚的な都市分析と、非視覚感覚を含む公共空間設計のための参照概念。

Citation

Lucas, Raymond, and Gordon Mair, eds. Sensory Urbanism Proceedings 2008. 2009. Architectural Theory Review. Volume 14, Issue 2: Sensory Urbanism. 2009. Peca Amaral Gomes, Alexandra. Invisible City: A Multi-Sensory Approach to the Analysis of Urban Space. PhD thesis, UCL, 2023. Jaffe, Rivke, Eveline Dürr, Gareth A. Jones, Alessandro Angelini, Alana Osbourne, and Barbara Vodopivec. “What does poverty feel like? Urban inequality and the politics of sensation.” Urban Studies, 2020.

主要概念 | Core Concepts of Sensibility Urbanism